【重要】『クロスエイトMC静注用』 に関するお知らせ。
2025年1月22日
クロスエイトMCの製造トラブル発生の経緯とご使用いただいている製剤の品質・安全性について
上掲の「【患者向け】クロスエイトMC案内文書」及び「クロスエイトMCの製造トラブル発生の経緯(略)」にある通り、製造工程における不具合のため、JB(一般社団法人日本血液製剤機構)による『クロスエイトMC静注用』の製造が一時停止されます。二件の説明だけでは判りづらい部分があると思いますので、JBから併せて発出された「【医療機関向け】クロスエイトMC案内文書」の内容なども踏まえ、補足します。
「製造工程における不具合」とは、具体的には、昨年八月に実施された定期メンテナンス後、複数の添付注射用水バイアル内にガラス様異物(直径約0.1ミリ前後)の混入が判明したことです。この異物は、乾熱滅菌トンネル内の表面加工処理に用いられた球体ガラスが清浄フィルターの出口側部分に残存しており、これがバイアル内に混入したものと判断されました。このため、製造を中断して内部清掃等を実施したものの、その後の製品においても同様の現象が解決に至らないため、製造を一時停止したとのことです。
JBは設備業者と協議を継続し、可能な限り早期の製造再開に向けて対応を進めていますが、現時点でメドは立っておらず、在庫がなくなり次第、患者への供給が停止すると予想されています。
なお、八月の定期メンテナンス以降の製造は行なわれておらず、それ以前に製造・出荷済みの製剤の品質については、下記の状況から、問題はないとされています。
- クロスエイトMCと注射用水は同一ラインで製造しています。
- クロスエイトMCは凍結乾燥品であり、目視検査による異物の検出には限りがあるため、前後で製造している添付注射用水の全数目視検査で球体ガラス様異物混入が無いことを確認しています。
また、万一、同種の異物が混入している注射水を使用したとしても、薬剤への移行時に、異物よりも細かいフィルター針で濾過≪ろか≫されますから、体内に入ることは考えられません。
『クロスエイトMC』を使っている患者は、同製剤の供給が停止した場合には、製剤の変更を迫られることになります。自らの意思、希望に基づかない製剤の変更は、患者にとって大変不本意な事態となりますけれども、この機会に当たっては、様々な選択肢に関して主治医と十分に御相談の上、代替製剤を決めていただきたいと思います。
なお、代替製剤の供給に関しては、他メーカー製造の第VIII因子によって賄うことが可能であると確認されている模様です。
この重大な出来事に関しては、全国ネットワークとしてもなお十分な情報を得るとともに、適切な対応策を皆さんにお伝えして行きたいと考えています。
一般社団法人 ヘモフィリア友の会全国ネットワーク
理事長 松本 剛史