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日本で製造されている献血由来凝固因子製剤の海外輸出(人道援助)が実現しました。

2023年8月19日

私たちヘモフィリア友の会全国ネットワークは、日本で製造されている献血由来凝固因子製剤の有効活用
を目指し、長年にわたり、血液製剤の一部海外輸出(途上国の患者に対する人道援助)を求めてきました。
その活動が実り、本年2月、ついに献血由来凝固因子製剤の海外輸出が開始されました。


「血液製剤、57年ぶりに輸出再開へ…血友病用の余剰分を途上国の医療支援に」(読売新聞)
https://www.yomiuri.co.jp/medical/20230206-OYT1T50300/

「血友病患者のための血液製剤、57年ぶりに輸出再開へ 途上国支援で」(朝日新聞)
https://www.asahi.com/articles/ASR2964RNR29UTFL00T.html

これを受けて、JB(日本血液製剤機構)を通じ、WFH(世界血友病連盟)より感謝の書状が届きました。

(pdfが開きます。)

【大意】
2023年7月25日

松本先生

 2022年、JB(日本血液製剤機構)よりWFH(世界血友病連盟)に対して、160万単位(IU)の血漿由
来第VIII因子製剤『クロスエイトMC』が寄贈されました。WFHは、ヘモフィリア友の会全国ネットワー
クと、この寄贈を実現するために主導し、支援にご尽力いただいた皆様に心より感謝します。

 WFHはカナダに本部を置く国際的な非営利団体で、世界147カ国が加盟し、WHO(世界保健機関)に
より正式に承認されています。過去60年にわたり、世界中で血友病ケアの向上に力を尽してきました。

 WFHは、どこに住んでいる出血性疾患の患者さんであろうとも、総ての人が治療を受けられるというビ
ジョンをいつの日か実現するために、懸命に努力しています。JBからの寛大なご寄付のおかげで、バング
ラデシュ、カンボジア、モンゴル、ネパールの100人以上の患者が治療の恩恵を受けており、私たちはビ
ジョンの実現に向けて一歩近づいているのです。

 2023年以降も引き続きご支援を賜りますよう、お願いいたします。
 よろしくお願いします。

医療&人道援助ディレクター  アサド・ハファル
CEO            アラン・バウマン



併せて、モンゴルに住む26歳の血友病患者であるエンクスルド・テルビッシュ(Enkhsuld Terbish)さん
からも思いがけない便りと写真が届きました。彼は、2018年に日本を訪れた際、大阪の全国ネットワーク
事務所に立ち寄ったことがあります。

【大意】
 僕の名前はエンクスルド・テルビッシュ、1997年生まれの26歳です。血友病A重症と診断されました。

 生後5日目にへその緒から出血しました。血友病と診断されたのは8ヵ月の時でした。モンゴルでは血友病
とは確定されず、臨床的に診断されました。2000年にロシア連邦に行き、血友病Aと確定しました。

 2012年5月、僕は右股関節に出血したのですが、医師は虫垂炎と誤診して手術を行なったため、出血が止
まりませんでした。この時、WFHから人道援助の凝固因子製剤が届き、私の命を救ってくれました。

 2012年、2013年、2014年にはカザフスタンに治療に行きました。カザフスタン血友病協会が僕の医療費
を負担してくれたのです。2013年末には、初めてモンゴルでも遺伝子組換え血液凝固第8因子と第9因子製
剤が治療に少量使われるようになりました。毎月の定期投与は、4週に1回だけです。従って、血友病患者に
とって凝固因子は不足しています。我が国では、血友病患者の90%が障害者です。0〜18歳の子どもが約70
人、成人患者が約60人居ます。インヒビター検査は全く実施されておらず、凝固因子量の検査は生まれた時に
1回だけ。検査には、本当にお金がかかるからです。

 第8因子製剤、第9因子製剤は、WFHから人道援助プログラムとして定期的に送られ、僕たちの治療に役立
っています。

 2023年5月10日から僕は吐き気を感じ、5月12日に吐血しました。胃カメラで食道破裂と診断されました。
そのため、胃に大量の血液が流れ込んだのです。今年初めて、モンゴルは日本の全国ネットワークから「人道
支援」の第8因子製剤を受け取りました。僕は、4500単位を7日間、8時間間隔での投与を受けました。あな
た方が送ってくれた凝固因子は、僕の命を二度目に救ってくれました。モンゴル血友病協会の全メンバーを代
表し、また個人的にも、皆さんの仕事の成功を祈っています。あなた方と一緒に仕事が出来ることを嬉しく思
います。僕たちの国に来て下さい、歓迎します。
 

(画像が開きます。)