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化血研製造製剤の出荷停止措置に関して

2015年8月17日

化学及血清療法研究所(以下、化血研)の製造する血漿分画製剤が、国に承認された方法と異なる方法で製造されていることが判明したため、6月、厚生労働省より出荷停止措置を受けました。

 

化血研の報道発表文書患者向け文書(共にpdfファイルです)

厚生労働省の報道発表資料(6月5日付)

 

これらの製剤のうち、血友病及び類縁疾患の治療に使われている製剤は次の通りです。

 

・ノバクトM(血友病B治療製剤)
・コンファクトF(フォン・ウィレブランド病及び血友病A治療製剤)
・バイクロット(インヒビター治療製剤)

 

この問題に関する現況及び今後の見通しについて、各地区患者会を代表する立場として全国ネットワークが化血研から直接説明を受けましたので、概要をお知らせします。


化血研の製剤に関しては、承認書と異なる方法で製造されていたことから、ウイルス除去能への影響の有無が検証されていません。最終製品ではウイルス陰性とはいうものの、念のため安全性確認検査を行う必要があるため、現状のような出荷停止措置が採られています。
血友病治療製剤のうち、バイクロットの供給が最もひっ迫しています。出荷停止以前に流通した製品も8月上旬には枯渇するおそれがあり、緊急の対処として、出荷停止解除が採られる予定です。


バイクロットの緊急出荷を行うにあたり、厚生労働省はーー
・ウイルス除去能評価終了まで代替製剤(ノボセブン、ファイバ)の使用を推奨する。
・バイクロットの有益性が代替製剤より明らかに上回ると主治医が判断した患者に対しては、インフォームドコンセントを取り、その上で使用できるよう在庫の一部を出荷する。
ーーという使用基準を作り、国の審議会である血液事業部会運営委員会で提示されました。また患者向け通知案も提示されています。
これらバイクロットに関する現状や使用基準案、通知案などは、平成27年度第2回血液事業部会運営委員会の資料として、厚生労働省がWebで公開しています。

 

補足:8月20日付で化血研より”バイクロットに関しては、7月29日より医療機関向けに緊急出荷案内を開始している。また現時点では、条件付き(医師による使用制限判断、患者へのインフォームド・コンセントの実施)での提供となっている”旨の情報がありました。

 

コンファクトFもフォン・ウィレブランド病治療薬としては代替製剤が全くないものの、現時点で在庫には余裕があり、ウイルス除去に関する試験の終了後、優先的に出荷されることになっています。また、ノバクトMは現行規格の1600単位、400単位、800単位から2000、500、1000単位への切り替えが以前から予定されていたため、切り替え後の新規格のものが出荷される見込みです。化血研は、両製剤とも秋には出荷にこぎ着けられるという見通しを持っているようです。

 

今回の件に関して、厚生労働省および専門医はーー
・代替製剤がないため、欠品状態が生じれば、必要とする患者の治療に影響するおそれが大きい。
・該当製品は、承認書と異なる製造によってはいるが、国の検定試験を経ており、これまでに今回の件との関連が疑われる健康被害の報告も受けていない。
ーーとの判断に基づき、このような措置を採ったものと考えられます。しかし、長年にわたり、承認を経ない製造工程の変更を重ねていたという製薬企業としてあり得べからざる重大事ですから、本来、すぐに製品回収や営業停止等の処分があって当然の案件とも考えられます。


結果的に幸い安全性が保たれており、また、治療に大きな影響をもたらさないとしても、患者に与える無用の不安や不信に鑑みれば、原因究明、再発防止に関わる化血研の対応・対策に関しては、今後も厳しく注視を続けなければならないと考えています。